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プレコシェルターを自作する簡単6ステップと注意点〜オーブン陶土〜

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プレコシェルターを自作すると言っても色々な物がある。その中でも難易度の高い大物をキレイにしっかり中まで焼く方法のデータを取るために、これまでに何度も失敗を覚悟で温度設定を変え、繰り返し焼いてきた。これまで未公開だったが、安全のために実戦から得た考察と焼き方をここで公開する。

設定温度の時間の推移の最短値を見るため、無茶をして何度か爆発させた事もあります。細かい部分にこだわりがあり少し長くなるが、失敗から学んだ重要な事だけを伝えているのでしっかり読んでもらいたい。すぐ下の目次から読みたい場所へワープできます。

厚みのある物を焼く場合、温度設定に気をつけないとヒビが入ったり、割れたり、最悪の場合は「ボンっ」と大きな音を立てて爆発する。この対処法は後述する。補足があれば追記する。

まずはステップとして、誰でも成形と焼きが簡単にできる産卵筒から行ってみよう。

普段は産卵筒は滅多に作らないが、自分のものがヘタってきたので作るついでに手順を載せておく。ググればいくらでも同じような作り方を紹介したページがヒットするが、せっかくなので当方の制作風景を紹介しようと思う。簡単にキレイに作るための多少のコツも書き添えてあるので、目を通して欲しい。

これができなければ次のステップの大物焼きはやめた方がいいが、ここでオススメするやり方をやれば誰にでもできるので安心して読み進めてもらいたい。

プレコシェルターを自作する簡単な方法〜産卵筒編

プレコシェルターの中でも産卵をさせる際の必需品だ。

1:なんでもいいから芯になる物を用意する。

当方では塩ビパイプのジョイントを繋げた物を芯に使う。いろんな口径のものがある事、安価な事、一度買えば痛まずにずっと使える事、どこでも手軽に手に入る事。以上の理由からこれより使える物はそうそう無い。

2:食品用のラップを巻く

これはかなり重要だ。筒状に成形した後、芯を抜く時に非常に楽に抜ける。形を崩さずにきれいに作るなら必須。と言うよりこれをやらないと抜けない。潤滑油として試しに芯にサラダ油を塗って挑戦した事もあったが、散々な結果になった。

3:タタラ状にした陶土を巻きつける

タタラ状とは、この写真のように陶土を伸ばして板状にした物の事を言う。空気さえ巻き込んでいなければここは適当でも後でどうにでもできるが、厚みはできるだけ均一にしよう。
この時、できるだけ芯にフィットさせるように包むと良い。芯が抜けにくくなると思うかもしれないが、ここでしっかりフィットさせないと内側がひどいことになる。ラップを巻いているので安心してみっちり巻き固めよう。

4:ラップを残して芯を抜く

簡単に芯を抜く方法を教えよう。芯の刺さった状態で台の上を2〜3回コロコロ転がすと、土と芯の間に僅かな空間ができる。すると、天ぷらの衣を剥がすようにスルっと抜ける。ついでに全体の形を整える効果もある。この時あまり圧をかけると形が崩れるので注意しよう。

5:ラップを抜く

ラップを抜くときの注意事項。芯に陶土を巻く時にたまにラップを巻き込んでしまう時がある。その場合、一気に抜くと風穴が開くので、ラップの端を持って慎重に引き抜こう。ある程度土を厚めに巻いておけば、多少の事では問題は起きない。

6:形を整えて完成!

あとは好きな形に整えよう。個人的には置いた時に安定するピラミッド型が良い。動かしやすいので、写真のように小さな板を用意すると楽だ。
緩やかなカーブを付けた産卵筒。
型を使わなければ、こういったユニークな産卵筒も作れるので、
慣れてきたら型から離れるといいだろう。
面白い物を作ってくれる人が現れるのを期待している。
じゅうぶん乾燥させたら焼いて完成!このくらいの物なら一週間も乾燥期間があれば大体イケル。低温多湿な所ではこの限りでは無いので、あくまでも目安として考えよう。見た目がしっかり乾燥している事、触った時常温である事(冷んやりしてない事)

産卵筒のようなそれほど厚みの無い物なら、150〜180度で30分加熱すればじゅうぶん使える物が焼き上がる。

※現在オーブン陶土は取り扱っていないので、この作り方紹介では通常の陶土を使用している。

以上が産卵筒の簡易な作り方と焼き方です。それでは次は少し難しい中型〜大型の物の焼き方について説明しよう。自作するなら、これは事故を避けるために大事な事なので是非参考にして欲しい。

プレコシェルターを自作〜大物を焼く前に理解するべきオーブン陶土の性質。

プレコシェルターの中でも、さっきは厚みもなく成形も焼きも簡単な産卵筒について紹介した。

それでは、連結された物や厚みのある物、つまり熱を照射する対象の体積や重量が大きい場合はどうだろう?

オーブン陶土特有の性質。爆発する原因と対策方法。

これまで未公開だったが、自作する方も増えてきたので安全に作ってもらうために焼き方を公開する事にした。しかし、焼き方を教える前に大事なことを先に書こうと思う。今から伝えることが、焼く時の火加減の理由の全てだからだ。焼く前に爆発する理由をしっかりと理解して欲しい。

上の写真の様に厚みのある物を教科書通りに焼くと、ヒビ割れたり爆発したりする場合がある。これはオーブン粘土を固めるための物質『コーンスターチ』がオーブンの熱で表面から先に固まり始め、中に残っている水分を閉じ込めた状態で加熱してしまうからだ。通常の陶土なら、しっかり乾燥させれば厚みがあっても安全に焼ける。

オーブン陶土の焼き物を見ればわかるが、表面はツルツルしたプラスチックの様なコート仕上げの様になる。ついでに言うと、土中の有機物が焼失する温度で焼くわけでは無いので、一般素焼きの様な多孔質にもならない。

素焼きの多孔質とは、高温で陶土を焼く際の有機物の焼失で発生する、隙間の形成に大きく依存している。

話を戻すが、メーカーの推奨する規定温度で厚みのある物を焼くと、内部の水分が抜ける前に全体がコーティングされた状態になってしまい、熱で温められた水分が膨張して行き場をなくして破裂する。

これはオーブン陶土を使い厚みのある物を焼く時、教科書通りの焼き方では不可避な現象だ。もともとオーブン陶土は、皿やマグカップの様な厚みの物、小さな物を作るのに向いている素材なのだ。

そして、土はどんなに時間をかけて自然乾燥させても、必ず微量の水分を含んだ状態で安定する

「爆発せずにヒビ割れくらいなら、、」と思うかもしれないが、ちょっと待って欲しい。できるだけ長持ちするシェルターを作るには、ヒビ割れも極力避けたい。なぜなら、このヒビが後々に強度に大きく影響してくるからだ。この理由を説明するので是非聞いてもらいたい。

オーブン粘土のシェルターをしばらく使っていると気が付くかもしれないが、水に入れる前と、水から出した直後では体積も重量も違う。これは土が水分を吸って膨張しているからだ。

これはオーブン陶土が焼成によって固まった物ではなく、コーンスターチで練り固めた物だから起こる現象で、通常の陶土ではこの現象は起きない。

カンの良い方ならもうお分かりでしょうが、これを繰り返しているうちに、だんだんと割れ目が大きくなっていくのだ。

それを極力避ける為にも、出来る限り綺麗に焼き上げる必要がある。それでは次は本題の火加減について書いてみる。

オーブン陶土でシェルターを自作する際の火加減。大きな物はこの方法で焼こう。

いかに表面が焼き固まる前に内部の水分を飛ばす事ができるか。これがポイントとなる。

火加減以外の一番簡単な方法としては、厚みのある部分に針などで空気穴を開けるという方法がある。例えば2cmの厚みの物の中心にひとつ穴を開けるだけでも、実質的に最厚部を半分にできる。

これだけでも破損する確率はかなり減るが、そもそもこの記事では表面にできるだけ傷を残さずに焼こう、という趣旨があるのを思い出して欲しい。

※火を使う作業なので目を離さない事、換気を十分にやる事。

焼く物の大きさによってはここまでしなくてもいいが、ここでは重量級を想定してもらいたい。具体的に言うと上の写真の物で、オーブン陶土を約2Kg使用した連結された物(当方でいう基本型)だ。小さく薄くなるほどかける時間は短縮できる。

ひとまず、乾燥から焼き温度までのレシピを書いていく。

1:これは大前提。しっかり乾燥させる。

見た目だけで完全に乾燥しているかどうかを判断するのは難しい。触った時の温度も必ずチェックしよう。水分が余分に残っている場合、触るとひんやりと冷たい。

見た目は乾燥していても絶えず表面から水分が気化していて熱を奪っているからだ。乾燥に必要な時間は温度や湿度に大きく依存するので、必ず毎回チェックする事をオススメする。前は一週間で乾いたから、、では失敗する事がある。

当方も初めの頃に何度かフェイントを喰らった事があるので、慣れるまでこういった物を作って目安にしていた。

これは手のひらに乗る程度の小さな土の塊をじゅうぶんに乾燥させた物。
触った時これと同じ温度ならだいぶいい感じで乾燥している。

2:焼く前日に90〜100度で1時間温める。

これをやるだけでもかなり違う。この段階でオーブンに近づいて匂いをしてみよう。土から蒸しでる香りがするはずだ。しっかり乾燥させたつもりでも、どれだけ水分が残っていたのかがわかる。

温め終わったら余熱でそのまま次の日まで放置しよう。この時、オーブンの扉を少し開けて中の蒸気を逃してやると効果的でしょう。

3:焼く当日、もう一度90〜100度で40分

この日は本番です。注意点として、温度が目標値に達してから40分を測る事。このまま設定温度上昇に向けてシフトチェンジしていくので、必ずしっかりやろう。これは前日より念入りにやらないと、この1時間後に失敗する危険がある。

前日温めた時点でかなり乾燥は進むが、土は温度が冷めると再び大気中の水分を吸収する。この時点からさらに水分を抜ききるつもりでやろう。(実際、オーブン陶土の設定温度では完全に水分を抜く事はできない)

ここで土の蒸しだす匂いが無くなっていなければ、さらに時間を延長して温度を維持する。

4:ここからは手動になる。1時間かけてゆっくり130度まで上げる。

物の厚みにもよるが、ここで油断していると「ボンっ」がくる。

面倒だが10分ごとに段階的に温度を上げて行こう。温度が上がるごとにコーンスターチも固まり始めるので、だんだんと水分を飛ばし難い状態になっていく

。焼け始めたコーンスターチはシェルター の表面の模様を変化させる。いかにこの段階の後半まで、この変化をできるだけ抑えて引っ張るかがコツとなる。

5:ここから30分かけて150度まで上げる。

この時点でコーンスターチが凝固しはじめているはずなので、シェルター の表面は焼き上がりの時に近い模様がでているはずだ。

当方では、ここまでを水分抜きの段階としていた。しかし、さっきも書いた通り、オーブン陶土を焼く温度では中の水分を完全に飛ばす事はできない。

通常、土の中の水分を飛ばしきるのには少なくとも3〜4時間かけて300〜400度まで持っていく。人によっては500度と考える場合もある。

つまり、まだまだ油断は禁物という事なので慎重にやろう。この段階が最後までうまく行ったら次のステップに移行する。

6:最終加熱。180度で1時間。

前の段階までクリアできれば、ここで一気に180度まで上げても問題ない。ここからはタイマーが切れるまで手放しできるので、あとは焼き上がりを待つだけとなる。しかし、オーブンのタイマーが切れるまでは必ず見張っておこう。

何度でも言うが、火災の危険はいつでも想定しなくてはならない。それに調べればわかる事だが、通常家庭用のオーブンはここまで長時間の加熱を想定して設計されていない。

火事云々もそうだが、使うオーブン機器の消耗もあると言うのも忘れてはいけない。

ここまでする必要があるのか?と思う方。ローストチキンをイメージして欲しい。厚みのある物を焼く場合、中まで熱を通すのは意外と時間がかかるのだ。

しかもこの場合はローストチキンと比べて、内部の温度も結構な高温まで、しかもじっくり時間をかけて引き上げなければならない。どこに妥協点を置くかで温度レシピは違ってくるが、完璧に焼くなら大体こんな感じになる、と思っていただければいいでしょう。

周りに燃えやすいものがないか、一酸化炭素中毒を避けるための換気はできているか、とにかく火を使う作業だと言う事は頭に入れておこう。焦げるとすぐ匂いでわかるので、その場合は特に気をつけよう。

オーブン陶土のシェルターを使う際の注意点。これだけは知っておこう!

先ほど書いた様に、オーブン陶土で作ったシェルターは水分を吸収して少し膨張する。

さらに付け加えると、アクアテラリウムの様な半分は水中、半分は陸上という使い方だと、水中部はマックス膨張、水の届かない部分はそのままになる。つまりその場合、膨張率の違いでかなり短期間の間に劣化する事がわかった。

以上の理由からオーブン陶土のシェルターを長持ちさせる条件として、完全水没か完全陸上での使用に限った方がいい。

オーブン陶土専用の釉薬もあるが、あれは一般陶器に使われている物と違い、周りをノリの様な物でコーティングする物だ。食器としての使用を前提としており、物体の表面を削るプレコのシェルターなどに使うと短期間でシェルターが露出するのでそれほど期待できない。コート材の値段もそこそこするので、作る本数にもよるがショップで買った方が安く上質な物を買える。

そして別のページにも書いたが、ソイルを使ったときの様に微量だがアンモニアを発生させる。オーブン陶土は、土を焼成によって結合させる陶土とは違い、有機物を残したままの状態で使用する物だからだ。

そして通常の陶土で作った素焼きにも、微妙に水質を変化させる要因はある。素焼き全般に言える事だが、微量のミネラルの放出があるからだ。これについては下記リンクの記事のコンテンツ4:腐食、変質のない【安定した素材】に簡易実験から得たデータを載せてあるので読んでもらいたい。

アクアリウムのシェルターに必要な事。知れば納得の大事な8要素。

正直、これらをブリードに使っても稚魚にも親魚にも何の弊害も発生した事はないが、一応データとして記しておく。

まとめ

安全第一。

オーブン陶土を焼く時は焦げない温度、180度を目安に上限にしよう。設定は180度でもオーブン内には温度ムラが生じるので、設定より高い部分があるのだと認識しておこう。

厚めの物を焼く時は事前にしっかり乾燥させ、温度上昇を緩やかに。割れが発生しない様に慎重に。

オーブン陶土は水を吸った部分が膨張する。膨張比率の違いによる破損を避けるため、使うなら完全水没か完全陸上で。

むやみやたらに乾燥と水没を繰り返すのは避けよう。膨張と伸縮を繰り返すうちに劣化が早く進む。

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