アクアリウムのシェルターと言えば、有名な物にプレコシェルターがありますね。
プレコシェルターといえば、下の写真の様な筒状の物を思い浮かべる方が多いでしょう。一般的にあれはプレコなどの繁殖時に有効とされる物です。

もちろん普段の隠れ家としても機能するが、行き止まりの構造になっているため逃げ場がなく、種類によっては事故に繋がり大切な生体を死なせてしまう事もある。
特にインペリアルゼブラの行き止まりの筒での舐め殺しはよく聞きますよね。
なので繁殖するのにまだまだ未成熟なプレコを飼育する場合は、事故を防ぐために筒を入れない方も居る。
これまで、SheltaCraftaではプレコの産卵筒とは別の使い道のシェルターに重点を置いて創作を続けて来た。
この記事はその話です。今プレコの産卵筒もひとつ制作中の物があるが、それはまた次の機会に。
創作も自身の中で第一期を終え、第二期の創作へと突入している。
アクアリウムシェルター~コンセプトは常にシンプルに
ここ最近は沢山のお客さんやお取引先のおかげで、いろんな場面で自分の作ったシェルターを見かける様になった。
(ホントありがとうございます)
当方が作るシェルターのほとんどに共通している事。それは、詰め込むコンセプトがシンプルすぎるほどシンプルな事。
全てのコンセプトは、小学生が思いつきそうなほど単純な要求を形にしている。
例えば、




などなど、多くが一度は考えたり悩んだりするはずの事。
経験上、取扱店からの注文やお客さんからの問い合わせは、常にシンプルな物の方が圧勝で多い。
このシンプルさはこの先も守っていきたい。というよりも、どんなに新しい答えもシンプルな要求の中にクラシックとなり得る要素が多く眠っていると考えている。
アクアリウムシェルターの新しい形とは~造形は新しく
アクアリウムシェルターにおける次世代のクラシックを確立する為に、当方は常に最先端の形、または最先端のシェルターの在り方を模索している。
これは大袈裟ではなく、世界基準での新しい物を目指している。この日本から生み出した物で世界の注目をここに集める。それはSheltaCraftaを立ち上げたその時から変わらない。
ここまでは順調と言えば順調。今アクアリウムの世界で、これまでとは違うシェルターへの認識が出来上がったのは事実。
しかしこの先は、先に述べたシンプルな要求に加え、更にこれまでに無かった概念を作らなければならない。そしてそれをより多くに理解してもらう他に次の道は無い。

人が見て美しいとかカッコいいとか思う物。自分の水槽や飼っている生き物達を想像して、直感的に水槽に入れたくなる物だ。
ここから先は一見、先ほど言ったシンプルに逆行する形で常識を破壊する事が必要だと考えている。
これまでに無かった概念をユーザビリティとして生み出す。その為に当方が力を注いでいるのがフリー制作に当たる。
これまでに定番化してきた物は、そのどれもがこれ以上無いほどシンプルに洗練を重ねた物。
それらに一塩加えた物というのが意外と難しい。
シンプルであり機能的。
それらをじゅうぶんに満たした上で、その次に付け加える部分というのが、スタイリッシュであり同時に無駄であってはいけない。

まるで飾らずにカッコよくしろと言われている様なモンです。これは果てしない。
視覚的なユニークさを出す為に無駄に造形を飾りすぎると、使い勝手とは関係なくなる。実用性とアート性は本来は水と油の関係の様な物だと痛感する毎日。
それでもこの2つをつなぎ合わせる事が、次の一歩への重要課題のひとつである事は間違いない。
造形にこだわり、そのデザイン自体が機能性と結びついていなくてはベストとは言えない。

当方のシェルターは作品毎に造形も違うので全てを説明する事はできないが、その全てに対して生き物たちの動きや行動を想定した期待を込めて制作している。
それを使うあなたに、その形や隙間を見て、そこに同じ様な期待をして生き物を住まわせたいと思って欲しい。

シンプルで機能的でスタイリッシュ。これは本当に果てしなく難しい。
しかしながら、今日もここでそれを生み出す為だけに生きているのがワタクシです。
最大の試練はいつもここ
昨日やった事は今日にはとっくに古くなっていて、今日新しい事ができなければ、明日からひとつずつ資格を失っていく。その強迫観念との戦いが毎晩続いている。今のところ結果は惨敗。勝てる日はほとんどない。
シェルター制作でだけで飯を食うという、少し前まで誰もが疑い、時に出来るわけないと馬鹿にしていたこの仕事の、もっとも厳しい試練がそこにある。
成形や焼きの失敗でもなく、制作の物量でもなく、足りない時間でもなく、気を使う大量の割れ物の梱包や発送でも暇人のたれ流す噂でもない。
いつでも目の前の小さな作業台に最大の試練がある。
つまらない物や事は一瞥もせず、次に向かわなければいけない。常に、常に新しい物を。
幸いな事に、しがみつきたくなる様な制作はまだした事がない。過去にすがらない自分。
安心できるのはそれだけです。
いつか転び、倒れる日が来るかもしれないが、その前に当方のシェルターに価値を見出してくれた沢山の人達に自分の作った物を届けられる。
やりがいはそれだけです。
この作業場にはつまらない駆け引きは無く、企みと口先でうまく立ち回る場所でもない。
目の前の課題と自分。この2人っきりの小さな作業部屋から世界を変える物を必ず作り出すんですよ。
まだまだ思い描いていたほど世界は何も変わっていないから、やんなきゃいけないんです。
壮大な事を言ってるけど何の話だ?と思ってるあなた!
アクアリウムのシェルターの話ですよ!
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