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アクアリウムのシェルターに必要な事。知れば納得の大事な8要素

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アクアリウム用シェルターの制作をしております、SheltaCraftaのAsatと申します。ここでは、皆さんに最高のシェルターと出会っていただくため、生物を主体としたシェルターの必須事項を書いていきます。

まずはじめに、当方のプロダクトに深く興味を示してくださり、ご愛顧いただいているユーザーの皆様、普及にお力添えしてくださった取扱店の皆様に感謝申し上げます。

皆様のご声援のおかげで少し前とは違い、生き物の脇役であるシェルターへの認識も大きく変わりつつあると感じております。

我々が1つになって押し上げてきたこのサブカルチャーのひとカケラも、今では国外からも注目を集め、この日本を発祥の地として広く浸透しつつあります。

SheltaCraftaというブランドは、大手メーカーとは違い、人と人との接近的対話から発展してきました。

プロショップだけではなく、末端のユーザーの声が直接反映される場面も多々あり、それこそまるで生き物の様に進化し続けてきました。

ひとまず現時点までに得る事ができたフィードバックから、シェルターという物に必要だと考えるエレメントを分解して解説してみたいと思います。

1:アクアリウムのシェルターを考える。リアリティのある【制作】

アクアリウムのシェルターと言っても色々あるが、どんな物にせよ本当に良い物を作るには、机上の空論や個人的な好き嫌いだけでは無く、出来る限り多くのユーザーからのフィードバックも必要となる。

そこで、SheltaCraftaでは自らプレビューをするのはもちろん、自分とは違う使い方をする第三者の見解に目を向け、日々小さな進化を重ねる事をブランドワークとしてきた。特に定番となって定着しているタイプについては、多くの使用実績が伴う物であることは間違いない。

これはフットワークの軽い個人ブランドの最大の強みであると言える。大量生産のできないハンドクラフトだからこそ、目の前のひとつを作るところから始まる。そこに共鳴してくださった皆様自らが、SheltaCrafta製品の使用実績となってくださった事に感謝は尽きない。

生体毎に使い方も違い、時には予想を超えた結果を生み出してくれるユーザーの皆様。今、それらの結果から新しいスタンダードが確立し、海を越えて波紋を呼んでいる。

たった1人から始まった当方のブランドは、世に放ったシェルターの数の柱を得ました。まだまだ一般認識の薄いカテゴリーの生物を相手にしているからこそ、末端ユーザーの使用実績がダイレクトに価値に反映されてきたのです。

これからの時代は、今我々がいるカテゴリーにもより明るい光が届くでしょう。その時に、今共に底上げをしてくださっている皆様は、紛れもない次世代への礎となっていく事は間違いない。失敗もあったし、達成出来なかった制作もあったが、残っている物はユーザーの求めるシェルターそのものです。

個人ブランドだからこそ実現できた、これこそが次世代に自信を持って伝える事ができるリアルなニーズと使用実績なのです。

2:アクアリウム用シェルターに求められる事。生態にそして個体に合った【構造】

アクアリウムでシェルターに著しい結果を求める場合、例えばプレコならプレコ、アピストグラマならアピストグラマに向けてアプローチした構造が重要であるのは言うまでも無い。

自然下ではどの様な暮らしをしているのか、という見解から自ずと正解のひとつは見えてくる。だが、それだけではまだ足りない。自然界の彼らの行動の全てを知っている人間は居ないからである。それを補う事ができるのが、各飼育者の普段の観察や考察から得られた情報です。

また、こうであれば〇〇〇ができる、などの要求も新しい発見につながる。例えば、教科書とは違うケースで産卵した、意外な場所を気に入ってテリトリーにしている、などの情報は新しい構想を生み出すし、生き物の生態を利用したユニークな制作をするというのも、また新しいアイテムを生み出す為には欠かせない要素だと考える。

例えばプレコの産卵筒ですが、あれも今では当たり前の様にそれとして存在していますが、ひと昔前まではプレコが行き止まりの筒で産卵する事がほとんど知られていなかったそうです。『伝説のモアイ像』と言えばプレコ通ならお分かりいただけるネタですよね?

たまたまある飼育者が、倒れたモアイ像の置物の内側で繁殖行動を行ったプレコを確認した事から、プレコは密閉度の高い筒状の空間の内側に卵を生んで守る、というのが一気に知れ渡ったそうです。それまでは、どうすればプレコが産卵してくれるのかを、沢山の方々が試行錯誤していたらしい。

この様な偶然から発覚した事実によって、今では産卵筒がどこでも手に入る様になった。生き物に関する一般情報や、現地で観察してもなかなか手に入らない情報という物を、教科書を捨てて目の前の生き物から得る、というのもまた大きな醍醐味のひとつではないでしょうか。

こう言った飼育者の発見をヒントに、必要とされる、または有効とされる構造を紐解いて行く。それらに使用実績が伴った時、新しい定番が確立される。

3:アクアリウム用シェルターに最適な素材。素焼きの【多孔質】

これについては語らずとも常識ですが、初心者の方もこのぺージを見ている事もあるでしょうから、出来るだけ簡単に説明します。

生き物が生活していると、必ずフンや汚れが発生します。そこから発生する有害物質の中に『アンモニア』という物質がある訳ですが、このアンモニアを微生物の活動によって、比較的無害な『硝酸塩』へと変換または分解していく過程がある。アクアリウムの世界ではこれを『硝化サイクル』や『生物濾過』などと呼ぶ。

そして肉眼では見えないその微生物群の多くは、物体の表面にコロニーを形成して活動します。そして多孔質とは、文字通り孔(穴)が多いという意味です。同じ体積で比較した場合、穴が多い物体は、穴が無い物体とは比べ物にならないほど表面積が広い。つまり、より多くの微生物が住み着きやすいという事です。

この事からアクアリウムの世界では、古くから多孔質の物を水槽に入れ、生物濾過の向上を期待してきました。

厳密に言うと生物濾過はこれだけには限らないのですが、多孔質の物体という物は、多少の生物濾過における期待値を持った素材だ、という認識をしていただければいいでしょう。

4:腐食、変質の無い【安定した素材】

◯科学的に不可逆な状態の物

当方が扱っているシェルターは素焼きという素材でできています。素焼きとは、土を乾燥させて高温で焼き締めた物です。

この時ある一定の温度帯で有機物は焼け去り、土中の鉄分などが化学変化により結合して固定され、素焼きという物が出来上がります。有機物が無くなるという事は、腐らないという事です。一度この状態になった土は、科学的に不可逆(元に戻る事は無い)とされ、安定した状態を維持し続けます。

何千年も前に作られた土器が今でも発掘されるのを見てもわかる様に、物理的な破壊が無い限り、半永久的にその状態が保たれる事が分かっています。特に水槽の様な、多くの物質の媒体となり得る水の中という環境下では、これは絶対に外せない要素ではないでしょうか。

ひとつご注意いただくとすれば、陶器からは多少のミネラルの放出が確認されており、若干硬度に影響があるという事です。通常の管理をされている方なら、気にする事は無いほど水質の変化は微々たる物ですが、参考までに当方で取ったデータをご覧ください。

1リットルの真水に対し、100gの素焼きを投入し、水換え無しで1週間経過後のデータを取りました。

毒性が強いとされているアンモニアと亜硝酸の数値も添えておきます。

1日目

アンモニア0

亜硝酸0

GH0

pH6.8

1週間後

アンモニア0

亜硝酸0

GH4°dH

PH7.2

水量の10%の重量の素焼きという、極めて高い比率を投入して計測しましたが、数値が安全域から外れる事はありませんでした。これは60センチ水槽で言えば、5〜6kgのソイルを投入するのと同程度の質量比率です。

計測に微々たる誤差はあるかもしれませんが、通常通りに水換えなどを行なっている水槽なら無視しても問題ないレベルでしょう。

当方でもプレコの繁殖に自社製品を使っています。生まれたての稚魚に焼きたての隠れ家をアク抜きもせずに入れて使っていますが、稚魚が落ちた事は1度もありません。

ご心配ならご購入後バケツなどに水を張り、水質の変化を計測していただき、安全な物だとご確認できましたらご使用ください。

※追記

数件のお問い合わせとご指摘があったので追記する。オーブン粘土というものをご存知の方も多いでしょう。アメブロの記事でも触れた事がありますが、オーブン粘土の焼き上がった状態というのは、科学的に通常の陶土のそれとは違う。

通常の素焼きは、一般的に800度以上の高温で焼き、上記の通りの化学反応『焼成』と呼ばれる現象で土自体のミネラルが結合して固まる。当方はもっと高い温度で焼いているが、ここでは伏せておく。

対してオーブン陶土は、120〜180度という低い温度で焼くわけですが、この温度では焼成は起こらず、土自体は結合しない。ではオーブン陶土はどうやって固めているかというと、オーブン陶土にはコーンスターチと呼ばれる物質が練り込まれており、それが固まる事によって接着剤の様な役割を果たし、形状を維持する。つまり、焼く前と土の状態が変わっていないという事です。

この状態の土からは、水に使用した場合微量のアンモニアが検出されるが、生物濾過の立ち上がった状態の水槽なら、問題の無いレベルなので安心して欲しい。

イメージとしては、ソイルを使った時と似た様なことが起こったのだと解釈すればいいでしょう。シュリンプ飼育者ならお分かりだと思いますが、ソイルはアンモニアを発生させる。

ついでに安全のため、オーブン陶土を扱う際の注意点を記載しておく。

このオーブン陶土に含まれるコーンスターチですが、200度を超えたあたりからコゲが発生する。本当はもっと高い温度で発生する物だと思うが、オーブン内の熱線に近い部分が、他の部位よりも極端に加熱されるせいだと思う。

検索すればヒットしますが、時にこの温度ムラや設定温度のミスで、火災になるリスクが発生する。以前当方でも何度までイケるかを実験するため、200度からスタートしたことがある。すると200度でもシェルターの節々にコゲが発生し、焼く時の匂いにも異変を感じたため、それ以上は試していない。

しかし造形の厚みによっては内部まで十分に焼けないし、厚みのある物はできるだけしっかり火を通したい、しかし厚みがある物に火を通す際は表面から固まり始めるコーンスターチの影響で、途中で内部の水分が閉じ込められ膨張してヒビが入る、時には爆発するという危険とジレンマも残る。

これは焼く時間や、研究してわかった経過時間ごとの緩やかで適切な温度変化によってどうにかなってきたが、トータルで見た手間隙、より安定した素材を求める、という意味で当方はオーブン陶土から離脱した。

ついでにもう一つ追記しておく。

オーブン陶土を使っていた時の当方の具体的なレシピを公開する。

150〜180度、30分。

これは産卵筒程度の厚みの無い物を焼く時です。しっかり焼きたければ事前にオーブンを温めておくとなお良い。ちなみに、20分程度でもじゅうぶん焼けるが、予熱の意味で当方では30分を取っていた。

ただし、これは一般で手に入るオーブンの中では結構大き目の物を使用した場合です。加熱棒のパワーや距離、またオーブン内の空間によって多少の調整は必要だと思われる。

オーブン陶土、火災などで検索すれば、危険なほど火柱を上げて燃えている様子が見られる。もし自作するなら、自己責任はもちろんですが、目を離さないで適性温度、温度ムラを避けるために適度なオーブンの大きさを守って欲しい。

オーブン陶土での自作について、ヒントとなる記事を書きました。下のリンクから記事に飛べるので、是非読んでもらいたい。

プレコシェルター を自作する簡単6ステップと注意点

5:大きさに見合った【適度な重量】

これも重要になってきます。

例えば当方の販売するシェルターは、穴の大きさに比例して壁の厚みがましていきます。

あまり重たすぎてもガラス水槽には危ないのである程度の見切りはつけていますが、穴の大きさに合った生体なら、危険が発生するほど動かす事は困難でしょう。もともと小型種向けのシェルターですので、十分な重量は確保できていると思います。

6:スタイリッシュな【デザイン】

◯視覚的ユニークさ

趣味で生き物を飼うわけですから、上記の条件を満たしていれば、後は飼育者の楽しみというのもまた醍醐味のひとつではないでしょうか。

例えば、

  • 人工的な要素をなくして自然観を出したい
  • 生き物や水草とマッチする隠れ家が欲しい
  • 面積あたりの個体収容数を向上させたい
  • 観察のしやすい水槽にしたい
  • インパクトのある写真が撮りたい
  • 生き物の面白い行動を観察したい

などなど、考えるとキリが無いですよね?これらのご要望にできる限り焦点を絞り提案して行く。

これは当方がシェルター制作を始めたキッカケであり、原点でもあります。

7:スペースに【無駄がない】

シェルターをたくさん入れすぎて、生き物の生活スペースが狭くなってしまったなんて事はありませんか?

限られた飼育スペースの中で、個体の大きさに対して隠れ家が大きすぎたり、空間を無駄に使ってしまったりすると、常に勿体ない気分が付きまとう飼育となってしまいませんか?

シェルターは適切な大きさと、飼育容器中に占める体積も重要な要素です。

特に住宅事情の限られた日本では、大きな飼育容器を簡単に置けないケースも多々あるでしょう。たかがシェルターですが、これひとつで生体や飼育者の快適度が大きく変わる事もあります。

限られたスペースに好きな生き物の飼育容器を置き、そこに投資する。大事なご趣味ですので、ここはこだわりを持って楽しむのもまたよろしいのではないかと思います。

8:生体を引き立てる【シンプルさ】

これは当方の好みや主義から来る提案ですが、シェルターとはあくまでも脇役です。ありきたりすぎてもつまらないし、目立ちすぎると生き物とシェルターのどちらを飼っているのかがわからなくなりますよね?

(当方はキッパリ、シェルターを飼っていたいと思っていて、その次にそこに合った生き物が住み着いて欲しいと思っている)

当方SheltaCraftaは、お客様のペットの脇役である事に誇りを持って制作しています。どこまで突き詰めても、お客様の動植物より前に立つ事は無い。このポジションを大事にしています。

よくSNSでお客様の投稿を見ていますが、お客様の水槽に差し込まれ、そこに溶け込んでいる自分のシェルターを見るとつい嬉しくなります。動物や植物の背景に溶け込み、それらを引き立てるベストな物。SheltaCraftaにメインがあるとすればそこだけです。

インスタなどに大事にしているペットをアップする際、背景に写っている物を厳選するのもまた楽しみの1つですよね^ ^

当方のシェルターは全てが型を使わないハンドクラフトの一点物です。是非お気に入りを見つけてください。

9:要約すると、、

  • リアリティのある【制作】
  • それにより実現した【構造】
  • 生き物に使うのに機能的な【多孔質】
  • 腐食、変質の無い【安定した素材】
  • 使いやすい大きさと見合った【適度な重量】
  • スタイリッシュな【デザイン】
  • スペースに【無駄がない】
  • 生体を引き立てる【シンプルさ】

以上がこれまでの制作→販売→ユーザーからフィードバックというプロセスを経て、重要だと考える製品の要素です。

それはこれからも続くし、常にシェルターの最先端の形を目指します。

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